あの揺れは後にも先にもない強烈なものだった。いつものように早朝5時過ぎに朝刊に目を通している時だった。揺れも大きかったのだが、その長さも半端でなかった。いつまで続くのだろうと思う程の長さだった。こちらの方が怖かったかも知れない。あの日からもう27年も経ってしまった。その後の被害の甚大さに驚いたわけだが、当時の私は独立して間もない頃。自分のことで精一杯。下請けの下の孫請けのような仕事ばかりで、確か震災を励ます大きな懸垂幕の看板を描いていたのを思い出す。徹夜で描いて凄く疲れた記憶の方が大きのは、何とも情けない話である。救援物資を運んだり、炊き出しに行った友もいたというのに。地を這うような生活をしていたあの頃「くそ!負けるか」「絶対ここから抜け出してやる」そんなことばかり考えていた27年前である。43歳だった。