満月散歩

朝外に出て新聞を取りに。寒くもなく暑くもなく爽やかな目覚めの中に飛び込んできた真っ白な光景。辺り一面霧である。動いている、生き物のようである。なんとも幻想的な感じの中でしばし動けず。いつものように散歩に出掛けるが霧はだんだんと消えていく。しっかりと湿った芝生の上を歩く。気持ちのいい朝である。がこんな感じの一人の散歩は少し辛い。T君を思い出してしまう。T君が亡くなって半月が過ぎようとしている。わが社のムードメーカーだった彼はまだ48歳だった。働き盛り、男盛り。残された私たちの何倍も何百倍も本人は無念だったに違いない。しかし何も泣き言は言わず、愚痴もない。いい奴とはそんなものである。神様はやはり気まぐれである。そして何もわかっていない。緑いっぱいの爽やかな河川敷。空を見上げても、ウグイスの鳴き声も、川面の小さなキラキラ波も、どこを眺めても、涙しか出てこない。

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