3.212026
3月21日は「ランドセルの日」らしい。3+2+1は6で6年間使うからだと解説している。あまりのこじつけにあきれるがランドセル製作職人が作りだした記念日と聞くと納得である。70年近くの自身の記憶にランドセルは欠かせない。入学式が近づくころ父がランドセルを買ってくれた。嬉しくて撫でまわしていたのだが、実際学校に行って見ると皆黒いカバンなのである。ツルツルの黒光りの牛皮製品。私のかばんは茶色で針でついたような小さな穴が一面にある、いわゆる豚皮という製品。牛皮の1ランク下の安物なのである。「みんなと違う!」もう心の中はズタズタである。人と違う生き方に憧れるのはずっと後の話。この頃ほど人と同じでないことの恐怖は想像を超えていた。もう学校には行きたくないと本気で思った。古ぼけた自身の入学式の写真を見つけ見る機会があった。全員小学生用の学生服を着ているが私だけがカーゼガンなのである。その日母親に着せられたのを覚えている。中に鶴が向かい合っている手編みのセーターを着て、その上にカーゼガン。新しい服を着て喜んで学校に行ったがこれも皆と違う。人と違うことをしたいと思うようになるまでにはまだかなり時間がかかる小さい頃の心の傷。桜の花と共に沢山の思い出が頭のなかを駆け巡る。
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