
5.62025
あっという間にゴールデンウイークも終わり。外では大きな雨の音が聞こえる。ちょうどいい、今日はゆっくり家で、という人も多いのでは。グッドタイミングの雨である。春の雨で思い出すのは「椎茸」。乾燥椎茸が最盛期のころが故郷の少年期である。この時季雨が降った後は椎茸が一斉に芽を吹き、大忙しとなる。雨上がりの椎茸はありがたくはないのである。山の上から運ぶのが大変で、まるで水を運んでいるようなものである。おまけに乾燥に時間がかかり、品質は最悪となる。本来は晩秋に芽を吹き出し寒い冬を乗り越え暖かくなった春に大きくなる。じっくり時間をかけて成長したのが「どんこ」という最高級の物なのだ。が雨で俄かに成長したものは厄介者に近い。しかしせっかくの恵みであるそれはそれなりにありがたく、出荷に精を出さざるをえない。中学の2年頃から手伝いはじめ、大人に混じって天秤で担ぐ仕事に参加。大の大人がヒ―ヒーと値を上げる過酷な仕事。肩がちぎれるように痛く、膝が崩れるような感覚である。荷を担ぐときは下りがきつい。1日に3回か4回ぐらいしか山を往復できないのである。大人になるということはこういうことか、これだけの体力がなくてはいけないのかと、つくづく思い知らされた。今この歳になっても現場仕事が可能なのはこのときの蓄えがあるからなのか。親に感謝である。「椎茸」にまつわる思い出も山のように溢れてくる。故郷は命の泉、心の宝物。
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