満月散歩

桜の便りが届く。生まれ育った故郷の桜の写真がLINEにのって運ばれてくる。親戚から友達からのたくさんの写真である。昔道路拡張工事で全く勢いがなくなってしまったこの桜は、その後みんなの協力もあって見事に復活と言いたいところだが、いかんせん小さくなってしまった。当時の面影は残すものの半分、いやいや3分の1、いやもっと小さくなっているかもしれない。エドヒガン桜、樹齢400年という。あれからまた何十年と歳月は流れたから450年としてこう。実家のすぐ前のお寺の桜である。春の写生大会といえば必ずこの桜を描いた。いつもピンク色を使ったのを覚えているが、今は白い。やはり弱っているのだろう。子供の頃の思い出はこの桜が全てを知っている。両親、祖父母、近所の人たちみんなの顔が浮かんでくる。どの顔も満面の笑みである。このお寺が集落の中心で、事あるごとにこの桜の下に人々は集い、喜びも悲しみも全てを共有した。私はこの桜の花びらの大きさ、形、色、香りまで鮮明に覚えている。花が終わり、新緑となりそして夏が来る。桜の前の杉の木にはアブラゼミが、またクマゼミはこの桜の木の高いところにしかいなかった。タモを持ち枝を登っていくが取れたためしがなかった。その太い懐かしい枝も今はもうない。一年中の思い出が浮かんでくるが今日はこの桜の花だけを頭に浮かべて一日を過ごそう。

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

関連記事

カテゴリー一覧

アーカイブ

  1. 2014.9.16

    “楽のしく”
    徳島の仕事は 徳島の業者が受けて 県外の業者に頼る事無く、すべて徳島で加工製作ができないものかと...
  2.  始まりました!徳島ビジネスチャレンジメッセ2014。
  3. 2014.10.18

    月蝕
    チャレンジメッセの会場で名刺交換をしました。
  4. 2015.7.9

    LINE
    楽のしく仕事を始め様と決意も新たに新年を迎えたのに気が付けばもう今年も半分が過ぎてしまい...
  5. 2015.7.21

    台風一過
    昔は夏の終りに台風が来て過ぎ去った後には、さわやかな風が秋を呼び込む代名詞今は台風が6月から...
ページ上部へ戻る